新年に思うこと 令和5年
あけましておめでとうございます
今年の4月で、この教室はまる4年、4月からは5年目に入ります。まだまだ若い教室ですがここからたくさんの美しい文字の書き手が育ってくれたらと願っています。
この教室を開いた当初から一貫して「楽しく」を第一の基本と考えて指導しています。
「楽しい」とは面白おかしいという意味での楽しさではなく、夢中になれるという意味での楽しさです。そこにはうまくいかないもどかしさや、辛さも含まれています。その苦しさを超えたとき、今まで見ていた景色とはちょっと違った景色が見えます。それを成長を言いますが、成長は結果としてついてきたものであり、目指しているのは「夢中になること」です。夢中になれれば、私があれこれ言わなくてもどんどんと上達していきます。ただ、良質の美しいお手本を用意し(これはこれで難しいミッションですね)、うまくいかない原因に気がつくヒントを与えるだけです。
賞やだれかから褒められたいと言った外からの動機や努力は、確かに一つの原動力にはなるかもしれませんは、それでは競争や順位付けがあるから頑張るという辛い努力をすることになります。どんなに立派な賞を獲っても書くことが好きではなければ長い人生の間に文字を書く助けになりません。むしろ、書くことが嫌いになってしまったら、全くの逆効果です。
教室の中では「疲れた」「無理(できない)」「めんどくさい」の3つの言葉を禁止しています。小学生は初めのうちはよくこの言葉が口をついて出てしまいます。そんな時は「心で思うのは仕方ないけれど、口に出さないこと。口に出すとその言葉が自分に返ってきて自己暗示でさらに辛くなるから」と教えます。そうするとしばらくしないうちにその言葉を口にしなくなります。それらの三つの言葉が禁止されているということはつまり誰もが思うこと、それはお稽古は疲れるし、めんどくさいものなのだ、ということを逆説的に理解して、そこを乗り越えて上達していく楽しさに段々と気がついていきます。そこに気がつくことが一つの上達のための転換点になっているように感じています。
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